「帰ってきた!真夜中の潮干狩り2015」第293回サルシカ隊がいく

投稿日: 2015年02月11日(水)18:20

s293-01写真/フォトグラファー加納 テキスト/サルシカ隊長

きみは「真夜中の潮干狩り」を知っているか。
え、知らない?
じゃ、以下のサルシカ名物コーナーの一覧からクリックして、まずはチェックしてもらいたい。

サルシカといえばコレ!/過去の人気企画!

はい、おかえりなさい。
もうわかりましたね。

サルシカがスタートした当時、神奈川県川崎市から三重県へ移住してきてまだ数ヶ月の隊長一家は、釣りにいったり、山菜をとりにいったり、はたまた潮干狩りにいったりと、それはまあ遊びまくっていた。
お金はあまりなかったけど、時間だけは有り余るほどあったので、それこそお金のかからない自然の中での狩猟系の遊びばかりであった。

特に。
ワタクシの妻M子は、潮干狩りにはまった。
最初にいったときに大漁だったものだから、もう狂いに狂った。
ケツを塩水でぬらしながら、しゃこしゃこしゃこしゃこと砂をほじくり返しまくり、アサリやらハマグリやらを見つけては、デヘヘへへへと笑う変態女となってしまったのだ。

が、潮干狩りにはシーズンってものがある。
まあ普通は3月から6月が好シーズンと言われている。

妻M子は、真夏も海水浴をしながらアサリを掘った。

しかしながら・・・・。
さすがに秋になり、冬になり、さすがに潮干狩りができなくなった。
彼女は「あうう、あうう」と砂をかく手つきをしながら、うなされるような夜をすごした。

ある日。
居ても立ってもいられないM子は、真冬の御殿場海岸へと向かった。
大潮でありながら、あまり潮が引いていない。
そんな海に、M子と同じく潮干狩りに恋焦がれるおいちゃんたちがいた。
バケツにわずかに確認できるアサリ。
普段は人見知りのはげしいM子がおじさんに食らいつく。

「アサリ・・・冬でもいるんですか!!?」

おじさんはひるみつつも、

「おお、おるよ。アサリは年がら年中おる」

と教えてくれた。
それがM子に火をつけたのだ。

「年がら年中!!」
「おうよ。潮の満ち引きってのは1日2回あるやろ。
 春から夏は、昼によう引いて、秋から冬は夜によう引くんや。
 ほやから、今でも夜中にいったら結構採れるで。
 ま、こんな寒い中、真夜中に潮干狩りにいくアホはおらんけどな」

はい、そうです。
アホはいました。
M子とわれわれサルシカ隊の面々です(笑)。

そんなことからはじまった「真夜中の潮干狩り」。
サルシカのスタート当初の人気コーナーとして数回繰り返したのである。
が、あまりに寒くて馬鹿馬鹿しくて、いつの間にか企画としてやらなくなったのだ。

が・・・・・!!
その企画が、数年の歳月を経て、ついに復活なのである!!!

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実はこの1月から、隊長であるワタクシがレギュラー出演している三重テレビの生放送番組「とっても!ワクドキ!」で、隔週でサルシカのコーナーがはじまったのである。
その企画の内容も、三重県を遊んで楽しい情報をお届けしようという、まあサルシカそのものなのである。
第1回は「銭湯企画」で桑名へ。
第2回は「三重の空散歩」で、パラモーターで空を飛んだ。
で、続いての3回め、担当ディレクターのカミデがサルシカの過去を振り返りつつネタを探していたところ、この「真夜中の潮干狩り」を見つけ出したのである。

ちなみにDカミデは、サルシカの農業研修生の上出さんである。
彼は農業研修の合間、休みを利用してディレクターをやっているのである。
がんばるおっさんなのである(笑)。

Dカミデは、潮干狩りセット、撮影セット、そしてヘッドライトや懐中電灯などあらゆる照明器具をサルシカ秘密基地で用意しながら、不機嫌に言うのである。

「気温が5度もあるじゃないか! もっと寒くならないと面白くないよ! 早く氷点下にならないもんかね!」

だいたいテレビ出身の人はこういうことを言うのである。
自らも苦しい思いをするにもかかわらず、面白い映像を撮るためにあえてイバラの道を追い求めるのだ。
しかしね、地上で氷点下だったら、海での体感温度はとんでもないことになる。
本当に凍え死んじゃうよ。

そして午後11時。
われわれは海へ向かって出発したのである。

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午後11時45分。
津市御殿場海岸にサルシカ隊潮干狩り特攻チームが集まった。

その面子を紹介しておこう。
トップの写真の左から、

野生児やっさん、
北海道からやってきた菜食のよしえちゃん、
真夜中の潮干狩りのもうひとりの主役といえばこいつ!バカエミ!
美里に出来た劇場ベルヴィルの劇団「第七劇場」から、へなちょこ伊吹!
隊長のワタクシ、
Dカミデ、
おっさん研修生ナカヤ(今回は照明マンとして参加)、
そしてフォトグラファー加納、

以上、8人の強者・・・というかアホである(笑)。

あ、そうそう!
で、肝心のM子がいないのである。
実は前日、娘がインフルエンザであることが発覚。
涙ながらの欠席となったのである。

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最近サルシカの取材は、テレビの撮影はあるわ、もちろんこのWEBサルシカ用の写真撮影はあるわ、で、もう大変である。
アサリなんぞ掘ってるヒマもないのだ(笑)。

午前0時。
われわれは低い声で「おおおお!」と気合を入れ、堤防から海へと向かった。
御殿場海岸は干潮時には沖に1キロほども潮がひく遠浅の海である。
まさに潮干狩りには最適である。

が、真夜中。
気温摂氏2度。
肌を切るように冷たい風が吹くいまは、とても潮干狩りに最適とはいえない。
そもそも海岸線がまったく見えない。
この日は新月での大潮なので、月がないのでそもそも何にも見えない。

ヘッドランプに照らしだされた足元を確認しつつ沖へ沖へと向かう。

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この加納さんが撮影した写真を見ると、明るく見えると思う。
けれど、これは超高感度で撮影したものである。
実際は真っ暗なのだ。

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この日の干潮は午前1時。
まだまだ潮は引き続けているので、波の音が聞こえはじめたところで、ひとまずみんなで掘ってみる。

が、クマデに何も当たらない。
前回のときはうじゃうじゃいたシオフキもいない。

※シオフキ・・・食べられないことはないがなかなか砂をはかない貝。この地域の人は採らない。

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場所を変えて掘る。
河口側、波打ち際、いろんなところに分かれて掘る。

が・・・・。
出てくるのはシオフキばかり。

アサリの姿は一切ない。

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ワタクシの実の妹であるバカエミに話を聞く。
真夜中に兄妹で潮干狩りをしているバカなのである(笑)。

「おい、アサリ採れたか?」
「ぜんぜん、アサリのアもおらんに」
「なんでやねん。前の時は結構採れたやないか」
「友だちが言うとったけどなあ、去年からこのあたりではまったくアサリ採れへんのやって」
「・・・・・・・・」

なぜこんな大事な話を今頃になっていうのであろうか。
数日前の計画時に言ってくれれば、他の場所に行ったではないか。
このバカめバカめバカめと心のなかで罵りつつ、「あ、そうだ、だからこやつの名前はバカエミなのであったのだ、ああバカめバカめバカめ、自分のバカめ」と自分も罵ったのである(笑)。

※採れないのは無料エリアのことです。有料エリアはもちろん採れると思います!!!!

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バカエミをひとり放置プレイにし、われわれはアサリを掘り続ける。
もうそろそろ干潮の午前1時であった。
焦る。
まだアサリはひとつも採れていなかった。

「これはやばいのではないか・・・企画として不成立なのではないか・・・」

ワタクシもDカミデもそう思っていた。

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そんなとき・・・!!!

「お、おった〜〜〜〜〜!!!!」

と、暗闇から声が響いた。
たぶんやっさんの声である。
興奮してヘッドランプが動き回る方へとワタクシは走った。

すると、やっさんが超巨大なハマグリを手に小躍りしていていた。
ハマグリは手のひらで覆い尽くせないほど大きい。

「おおおおおおお、やったああああ!!」

ワタクシも飛び跳ねて喜びつつも、フト我に返る。
待てよ、このままアサリが採れない可能性が大だ・・・すると手柄はすべてやっさんのものになる・・・てことは隊長のワタクシの面目丸つぶれということではないか・・・・。

「なあ、やっさん」ワタクシはDカミデにカメラを止めさせて、つとめて冷静にやっさんに言った。

「そのハマグリをぽろっとそのあたりに落としてくれないか」
「は? なんでですか、もったいない」
「だから、その、オレが拾うから、そこらへんに落としくれないか」
「なんでそんなことするの?」

野生児やっさんは動物的なカンは果てしなく鋭いが、こういう察しは途方に暮れるほど悪い。

「だから!そのはまぐりをオレによこせっつうんだよ!!!!」

隊長のワタクシはストレートに命令をしたが、これには他のメンバー全員が、

「なんて人だ、隊長は!!!!」
「隊員の手柄をオレによこせって言ってるよ!!」
「サイテーだ、この人・・・」

と、まさにドン引きの反応で、残念ながら「やらせ計画」は失敗に終わった(笑)。

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ま、そんなことがありつつも、ワレワレは最後の最後まで掘った。
午前1時を回ってどんどん潮が満ちてくる。
浜へと後退しつつ掘る。

が、アサリはいなかった。
一粒たりともヒットしなかった。

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そして午前2時。
元の堤防へと戻り、よしえちゃんが用意してくれた珈琲をみんなで飲んだ。
身体に熱い珈琲が染みわたる。

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が、それ以上に人生の悲哀をワタクシは全身で感じていた。
アサリ、ゼロ。
巨大ハマグリ1個。

これがわれわれ8人の成果のすべてであった。
われわれは負けた。
惨敗であった。

野生児やっさんは、例の巨大はまぐりを静かにワタクシに手渡した。
そして笑顔でうなずき、車に乗り込んで帰っていった。

ありがとう、やっさん。
でも、これはカッコよすぎるよ。
しかもカメラ回ってないし・・・・(笑)。

残りのメンバーも言葉もなくそれぞれの車に乗り込み、帰路についたのであった。

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翌日。
ワタクシはサルシカ秘密基地のトレーラーハウスではまぐりを食べた。
おいしかった。
でもそれ以上に悔しかった。
悲しかった。

いざ、リベンジ!!!!
われわれはまた必ず真夜中の潮干狩りに挑むのだ!!!

が、今のところ計画は未定(笑)